注文住宅・リフォームの設計・施工
皮を剥いだばかりの乾燥してない丸太
皆さん「木材は呼吸をする」という話は聞いたことはありますか?
実際に木は材となっても生きており
周りの湿度によって収縮と膨張を繰り返し続けることにより、
伸縮や反りが発生します。
昔ながらの木のみで部材を組む「木組み」
その工法のひとつである蟻桟(ありざん)は、
こういった木の伸縮に対応するため、考えられた工法です。
この工法は、昔から日本中で
日常的に皆さんも見たことがあると思います。
今日は大工が語る蟻桟についてのお話です。
大工二人で大きな杉のテーブル天板に蟻桟を施す。
テーブルの天板裏に台形の溝を掘り、その溝に蟻桟を送り込みます。
大工が掘ったこの溝は奥に進むにつれて狭くなっており、
くさびを打ち込むような締まり方をします。
この加工は大変な精度を求められるのですが、
丁度よい締まり方をするために、職人は0.1mm単位での調整を行います。
この工法の一番の特徴は他の木組みと異なり、接着剤を使用しません。
接着剤を使わずに、スライドさせて組み込まれた蟻桟(ありざん)は、
天板をまっすぐに反らないように矯正しつつも、伸び縮みは自らスライドして許容します。この伸び縮みを蟻桟が受け入れることで、天板は歪まず綺麗な状態を保てるのです。
数百年の歳月を経た老木も、やんちゃで生意気な若木も、
こういった大工の一手間により木の素晴らしい個性を生かすことができます。
その木材と向き合い手刻みで木材を活かす、そんな家づくりを続けていきたいです。