注文住宅・リフォームの設計・施工
(古民家の居間)
先日、築80年の歴史を持つ古民家の調査をさせていただきました。
中に入ると、立派な歴史のある大きな梁や柱、
昔ながらの味わい深い建具がいくつもありました。
新しいお家を建てるということでお施主様は、
「長く住んできたこちらのお家から
愛着のある建具や歴史ある梁をできるだけ残して利用したい」。
そんな要望のもと、これからも使っていけそうなものを調査し、
後日大工職人の手で回収させていただきました。
縁側部分に使われていた、木製の硝子戸。
格子部分の細い桟が繊細で美しいです。
建具の上部分には昔ながらの金具を使わない組み方が使用されており、
昔の職人さんの手仕事が垣間見られます。
他にも、千本格子の障子や懐かしい雪見障子など、様々な建具を
丁寧に外させていただき回収いたしました。
どの建具も愛着を持って使用されており
まだまだ使えそうなものばかりでした。
回収させていただいた後は、新しい家にぴったりはまるよう
手直しさせていただいたり、時には色味を塗り替えたり硝子を取り替えたりします。
そして、小屋裏の丸出しになっていた大きな梁も
傷がつかないよう丁寧に取り出しました。
このような大きな部材を、取り出しても家はびくともせず崩れ落ちないので、
昔の家は頑丈にできているんだなぁと感心いたしました。
大工職人さんがおっしゃるには、こちらの梁は約60年ぐらいの樹齢の松の木材。
つまり、こちらのお家が築80年なので最短でも140年以上前から
この木は存在していることになります。
昔から建築材料として愛されてきた松の特長として「硬さ」と「色艶」があり
特にその硬さを活かし、やわらかい木材だとたわみやすい
梁として古くから重宝されています。
こちらは戸袋の部分。
杉材で出来ていて、塗装された形跡はなく雨風による経年変化で
このような風潮のある銀色を帯びたような鼠色になるそうです。
この戸袋はお家の裏面(人目にかからない)にあるのですが、側面は丁寧な鎧張りになっており、
土台の石の形も今ではあまり見かけられない形になっています。
あまり人から見られない部分にも、昔の職人さんの繊細な手仕事がこのような形で見え、
ほっこりした気持ちになります。
このように古民家には今ではあまり見られないような工夫や技術、
伝統的工法が詰まっているのです。
そういった古民家でしか見られない古き良きものを、小林住建の大工職人が受け継ぎ、
長く大切にしていけたらなぁと思います。